スタッフブログ
ブログでも紹介したドキュメント映画
「月あかりの下で」を観に行きました。
松本市波田文化センターアクトホールの
会場はほぼ満席状態でした。
埼玉県立浦和商業高校定時制課程に通う
36名の4年間を追ったドキュメント映画です。
日本テレビの女性ディレクターが2002年から撮影をはじめました。
その後、4週連続で「テイジセー」という番組で放映され、それをもとに平野先生が本にもまとめられました。
この学校へは、さまざまな事情を抱える生徒が通う。
学校からはじき出された者、家庭環境により犠牲になっている者、刑罰を受けた者など・・・
映像は、平野先生が受け持つクラスの新学期初日の日から始まる。
テンで勝手で派手な服装の子、後ろや斜めに座る子、やる気のなさをそのまま出す生徒達に
平野先生は何も言わないのです。
職員室に自由に出入りを許され、そこで飲み食いもする。
保健室のベッドで寝転んでばかりいる子に、厳しく叱り付けたりしない。
「まずは、この子たちのそのままを受け入れてやることからです」と先生は話す。
授業も当然聞くはずもない。
しかし、評定に達しなければ進学は許されない。
生徒同士のぶつかり合い、先生とのぶつかり合いから、自分と向き合い 「認めてもらいたい」と
いう気持ちは誰も同じなんだと気づかせていく。
平野先生たちの辛抱強く何度も向き合い、話し合い、待つ指導に心が打たれました。
「どうして、こうできないんだ!」と叱り付けるのではなく、その子の育った家庭環境や生活環境が
あることを理解してほしい。 お願いだから、彼らを否定しないで欲しい。
何でも手に入る時代に彼らは生きている。
『消費文化』の犠牲になっている若者達がいることを知って欲しい。
4年間を卒業していく頃には、あんなに荒れていた生徒達が机に向かって勉強をしている。
文化祭で模擬店、和太鼓をみんなで協力して成功させたり、
浦和商業高校定時制が統廃合でなくなってしまう危機に、
街頭に立って署名活動をしながら呼びかける姿には感動しました。
また、そこを卒業した生徒達が行政の人達に、
「俺たちが立ち直ることができたのは、あの浦商(定時制)があったからなんだ!このことをわかってほしい!」
と涙を流しながら訴えるシーンに涙があふれました。
少年院で刑罰を終えた生徒は、沖縄修学旅行実行委員長を果たし、事前学習を終え、
「『沖縄へ行く意味』をよく考えてほしいとメッセージを残している。
彼は卒業後、大学へ進学し、卒業し、現在は親となり、子育てをしている。
そして、また大学へ戻って、もう一度学びたいと言っているという。
彼らにとって、大嫌いな学校であり、大嫌いな先生だったはず。
しかし、そうだったのでしょうか?
「私を認めてほしい」
「気持ちをわかってほしい」
「イライラする気持ちを受け止めてほしい」
その受け皿が浦和商業高校定時制課程にあったという事実を残した映画ということだけでなく、
私たちに大事なことに気づかせてくれ、人はいつでも変われることを教えてくれる素晴らしい映画でした。
残念ながら、浦和商業定時制高校は、2008年3月廃校が決定され、現在はありません。
平野先生は、転勤しても最後までこの定時制に係り続けたそうです。
最後に、先生の本にサインをいただきました。
感動してしまい、こんなに長く書いてしまいました。 お読み頂き感謝申し上げます。
人って、やっぱりすごいなあ