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信州で住まいを検討していくときに、断熱性能は大切な評価の基準となります。
断熱性能を示す、性能数値としては
Ua値(ユーエー値)という数値で検討ができます。
これは、断熱材や、木材の構成によって
建築士(設計士)が設計段階から検討ができるように整備されています。
しかし、
沖縄でも、北海道でも同じ基準でUa値が定められているかといえば、
そうではありません。
法律も、平成25年に省エネに関する大幅な改正を伴い、
平成28年にも小規模な補正が加えられ、現行の省エネ基準として運用されています。
当然、地域(建築地)によって、クリアすべき基準点(合格ライン)が定められました。
それが、Ua値 という訳です。
ざっくりお伝えすると、下記の表になります。
(参考出典:インテグラル様HP、ホームズ君より参照)
3地域?、4地域?? ・・・「何?」
と思われるかと思います。
日本全国を合計7つの地域に分類して、寒さの度合いを定めています。
(出典:自立循環型住宅HPより参照)
1地域:北海道など(寒冷地)
7地域:沖縄など(温暖地) といった具合です。
信州は、その中でも、
3地域と4地域の両方を地域区分として割り当てられています。
長野県のほとんどの地域は、3地域とされているのですが、4地域もあるので注意が必要です。
4地域は、比較的7地域区分の真ん中ですが、温暖地よりの傾向を受けます。
4地域とは、和歌山県高野町と同じ区分。
愛知県豊田市の一部(稲武町)とも同じ区分となっています。
どちらかというと、温暖地域の中で、少し寒いエリア。
といった位置づけでしょうか。
(細かくは、太陽光日射量等ありますが、、ここでは割愛させてください)
具体的に、中信エリアにおきかえると、
3地域 : ほとんどのエリアが該当
4地域 : 松本市(合併前の松本市内)、安曇野市
ここで、松本市と安曇野市が4地域に分類されているので注意が必要です。
改めて、先ほどの表を見てみると、、
「H25省エネ基準」という赤く囲われた部分を見てみると、
3地域 : Ua値=0.56
4地域 : Ua値=0.75 という指標があります。
ざっくり計算すると、25%くらい断熱性能に差があります。
松本市の信州大学前周辺 : 4地域
松本市の梓川エリア : 3地域 という判断になります。
果たして、この感覚を設計にそのまま採用してよいか・・・。
実際に暮らしている中で、雪の量は確かに違うと思うのですが、
「4地域の松本市であっても、最低限の設計基準を3地域に定める。」
これを英設計の省エネ設計の最低基準にさせていただいています。
出来る限り、
「計算上、こうだから・・・。」
「法律上、こうだから・・・。」 というのではなく、
「本質的な部分がどうか??」
「暮らしていくうえで、体感する、受けられる恩恵がどちらの方が良いのか?」
「光熱費の差額でどのくらい(何年)で回収できるのか?」
「この建築地は、日当たりが望めないから、断熱性を高めた方が・・・。」など
といった部分で設計の提案をしていきたいと思っています。
「法律を知っている」 のと、 「この建築地では、どの方法が最適解なのか・・・」
は、まったくの別問題です。
「Ua値は、0.5以下」
「C値は、0.5以下」をミニマムな基準としています。
(※C値については、詳しくはこちら:「C値って何?」)
直近の設計では、Ua値=0.46といった
H25年の北海道基準が参考になってきました。
国の定める省エネ基準も、また少し上がりそうな動きがあるので。
基準よりも、高めの設計をすることが大切です。
法律は、最低限度の基準ですので。
建築コストのバランスもあるので、
やみくもに高断熱ばかりを推奨するのもNGだと思います。
住まいを検討されていく中で、「どんなことを大切に住まいをつくりたいのか。」
といった、「想い」を共有させていただきながら、
理想の形を一緒に探していきましょう。
決まった形(プラン、仕様)の無い、設計事務所だから幅のある提案が可能となると思います。