暮らしのコラム
エアコンの選び方って、「暖房可能面積」で判断していませんか?
これって、ちょっと寂しい判断基準です。
そもそも、きちんと断熱性能の設計ができる設計士であれば、
どのくらいの能力がエアコンに備わっていればいいのかを判断することができます。
単純に、エアコンのカタログやHPなどで、
能力の暖房可能面積から判断してしまうのは、困りもの。
実は、
エアコンの選び方も大切なのです。
コストの面でも、1台エアコンが減るだけでも、
10~20万円建築費が変わります。
大切ですよね。
さらに、もう一つエアコンを選ぶポイントとして大切な基準があります。
それは、「除湿」の機能。
なんだ。
除湿の機能ならどのエアコンでもついているでしょ?
なんて思われる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そんな単純なお話ではなく、
「除湿の仕方(仕組み)」のお話。
高気密、高断熱の住宅が進んでくるときに、
大切になるのは、実は「室内の水分量と温度」なのです。
実は、エアコンの本体が行う「除湿(ドライ)」という機能は、
各メーカーによって、機能の仕組みが異なります。
(出典:三菱 霧ヶ峰HPより参照)
「除湿(弱冷房除湿)」と「再熱除湿」 という機能があり、
それぞれは、除湿の方法が異なります。
知らずに、エアコンをチョイスしている方が多いようです。
まず、一般的に「除湿」といわれるものは、
「弱冷房除湿」という機能になります。
「エアコン本体に、水分を多く含んだ室内空気を取り込んで、
エアコン本体内部において、さらに空気温度を下げて、
あえて結露をさせて、水分を抜いたサラサラした空気として、室内に送り返す。」
という機能になります。
すなわち、あえて結露をさせているので、
室内から吸い込んだ空気は、空気の温度が下げられたものとして、
エアコンから室内に戻されます。
ということは、除湿をしながら冷房をかけているということになり、
水分を抜かれつつ、室温が下がっていくので、
知らないうちに、冷たい風がエアコンから出続けるのです。
(除湿した結露水は、ドレイン管を通して、室外に排水されていきます。)
一方、
「再熱除湿」という機能は、
「弱冷房除湿」の機能に加えて、
水分を抜かれた空気は、空気温度が下がっているので、
エアコン本体で、空気を再加熱してから、室温に近い温度で送り出す。
どちらがいいのか?というお話は、個人の判断も含まれるのですが、
私たちは、
「室内の「水分量と温度」をできるだけ安定した状態を目指す。」という
「快適さ」の視点に立った時、
「再熱除湿型」の機能はぜひつけておきたいと思うところです。
このあたりは、ダイキンさんのHPが参考になります。
DAIKINさんのHPで、わかりやすく解説してくださっています。
(出典:https://www.daikin.co.jp/naze/html/a_4.html)
信州でも、
夏場には、梅雨時を含めてジメジメした空気になるときがあります。
子供のことを考えると、除湿をして室内空気を下げすぎないか心配になります。
「除湿」ということも信州でも「快適除湿」を想定しておかないといけません。
もちろん、梅雨時の「室内干し」にも有効です。
室内干しにして、「除湿(ドライ)」運転をしたら、
家の中が、めちゃくちゃ寒い・・・。=「弱冷房除湿」・・。
なんてならないように。
エアコン一つでも、選定の方法を間違えると悲しい思いをします。
ただし、良いことばかりではありません。
再熱除湿は、デメリットとして、
水分を取り除いた空気(潜熱)をエアコン内部で再度過熱して、
室温になじみやすい温度として、室内に戻すことになります。
したがって、
空気を加熱する分の熱量で電気代がかかります。
ここは、「快適さ」をとるために「投資」と捉える方が良いでしょう。
ちなみに、豆知識ですが・・・
エアコンは、「扇風機」の代わりとして活用することもできます。
信州の夜は、都会の夜とは異なり、
夜に窓を開けることで、涼しさを感じることもできます。
扇風機を置きたくない方には、
エアコンを扇風機として活用することもありかもしれません。
(出典:三菱 霧ヶ峰HPより参照)
もちろん、冷房運転ではないので、
圧縮機(コンプレッサー)を回していないの、
冷房運転よりも電気代は節約。
(電気代は、扇風機よりも若干かかると思います。)
このあたり全体の内容もしっかりと
設計に活かしていきたいものですね。