暮らしのコラム

コストを抑える場合には、

耐力壁パネルを構造用合板を採用して、

断熱材をグラスウールに・・・

ということもあるかと思います。

 
実はその選択には、、、注意が必要です。

(写真は、外壁内部の結露のリスクを検討するシミュレーションです)

 

 

以前のコラムにも書かせていただきましたが、

断熱材と、耐震のパネルは組み合わせが重要です。

 

同時に、

「湿気を通すのか。」

「湿気を通さないのか。」

を決めておくことが必要です。
 
【詳しくは、、、過去コラムをご参照ください。】

・○○だから「最強」という断熱材(工法)は言いきれない

・【外壁が湿気を通すのか、通さないかを決めておくことが重要】

 

これを混在させてしまうと、

壁内結露」といって、

外壁内部の見えないところで「結露」を起こしてしまうリスクが増えてしまいます。

 

きちんと検証をして、結露のリスクを抑えた設計をしたいところです。

 
こういった部分を、「契約金額」や「坪単価」、「コスト」・・・

といった、ことばかりを優先してしまうと、

思いもよらないことで、悲しい思いをしてしまうことがあります。

 
同時に、

「建築士(設計士)がしっかりとやっているだろう。」

ということを期待しすぎずに、

「確認」をしていきましょう。

 
さて、

コスト安を考慮していくと、

外壁用耐震パネルに「構造用合板」という選択肢があり、

断熱材については、「グラスウール」という選択が

国交省も推奨している、標準的な施工要領になります。

 

ここでも、「政府(国)が言っているのだから・・・。」

ということになりがちですが、

北海道から沖縄まで、この施工方法が必ずしも通用するとは限りません。

一般的な施工方法の組み合わせが、

「構造用合板+グラスウール」という組み合わせ。

断熱を積極的に検討している建築士であれば、

この工法が信州ではリスクがあることはシミュレーションせずともわかるところです。


写真の

「赤い部分」が「×」印になり、

そこで「結露」を起こしてしまうことが分かります。
(ちなみに、高性能グラスウールという性能の良いグラスウールで検討しています)

冬場の検討であり、
【室内】20℃ 湿度50%
【室外】-3.6℃ 湿度70%(雪が降っている状態)

※ちなみに松本であれば、最低気温が-5℃くらいには到達します。
  

ここで、

室内側に「防湿(気密)フィルム」を張れば大丈夫でしょ!

と思われる方もいらっしゃいます。 

 
しかし、残念ながら、

半分正解で、半分NGになってしまいます。

 
防湿フィルムを施工したとすると、、、

グラスウールの室内側に「気密(防湿)フィルム」を施工すると、

冬の壁内結露には効果があります。


しかし、

ここで、注意が必要なのですが、、、、

実は、

結露は「夏にも起こる」ということです。


普通の、「防湿(気密)フィルム」を施工してしまうと、

実は、

夏に、結露を起こしてしまう可能性もあるということに、

シミュレーションをしてみると気づくことができるのです。

「なんで?!」と思われる方もいらっしゃるかと思うのですが、

しっかりとした、自然の原理があります。

 


今回のコラムでは詳しくは書けませんが、

興味がある方は、建築相談いただいた中で、

ご説明させていただきます。


そして、

たまに、、、

室内を調湿するために、「漆喰」や「珪藻土」で仕上げたい!

ということをご相談いただきますが、

確かに、多少の効果はあるのですが、、、


シミュレーションしてみると、やはり結露します。。。。

珪藻土であってもの同じです。

グラスウールを採用する場合は、

「防湿(気密)フィルム」が必ず重要になります。

 
しかし、

先ほどの話では、「夏に起こるかもしれない結露」のリスク

も考えなければならないということ。


これをどう対処することが良いのか?


そんな時は、

「可変調湿型防湿(気密)シート」を採用しましょう。

細かく記述すると長くなるので、理由はまた次回。

 
通常の防湿シートに、夏型結露のための対策を施した

防湿(気密)シートになります。

 
 
グラスウールを採用するときには、

壁内結露のリスクを検討したうえで、どのような材料の組み合わせにするか、

しっかりと検討することが重要です。


 

ちなみに、、、

余談ですが、

調質効果が高いと、言われている「セルロースファイバー」であっても、

組み合わせによっては、

壁内結露のリスクが高くなる場合があります。

ギリギリ結露を起こさない状態のシミュレーションになりましたが、

室内の温度、湿度、

外気温、外部の湿度の状態によっては、壁内結露を起こす可能性もありそうです。

 
セルロースファイバーがダメ、とか、

グラスウールがダメ。とかを言いたいのではなく、

きちんとした、「壁内結露」の検討を行うことが重要です。

 
それも、

長期優良住宅などの検査機関の設計審査は、

「冬型結露」のある一点しか、検査しないので、

多くの場合は、「夏型結露」が見逃されてしまいます。

 
 

見えないところをどのように設計するか。

ということは、設計者(建築士)に託されている部分もあると思いますので、

しっかりと、お応えできるように日々検討をして

ブラッシュアップをしていきます。

 
時に、半年から1年で断熱や構造への方針が変更になることもあります。

よりよい設計をご提案させていただくために、

私たちも日々研究を重ねていきます。

ご了承ください。

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【平屋】断熱構造見学会(松本市)