暮らしのコラム
今回は、「長期優良住宅」って何がメリットなの?
というご質問が多かったので、整理するために簡単にまとめてみました。
話すとなが~くなるので、ポイントを絞ってお伝えします。
もちろん、メリット・デメリットもお伝えします。
ご参考ください。
(建て主様が分かりやすい文章とするため、一部わかりにくい内容は省略しています)
まず、事前に建物を建てるためにはどんな申請が必要なのかを整理しましょう。
・建築確認申請 (基本的に必須)
・長期優良住宅 (任意) (耐震性+断熱性+メンテナンス性+耐久性 のチェック)
・低炭素住宅 (任意) (断熱性 のチェック)
簡単に分類すると、こんな感じになります。
(建築地における、個別の申請は省略します)
・建築確認申請 とは何か?
一般的に、 建築確認申請は、「建築基準法」という法律を守って設計・建築計画を行っているか?
のチェックを行うための、審査です。
しかし、
ここで注意しなければならないことが 2つ あります。
それは、
★1) 耐震性能 に関する 法律のチェック は していない。
★2) 断熱性能 に関する 法律のチェック は していない。
この 2つ のポイントは 非常に大切なのです。
★1)耐震性能のチェックが存在しない。
⇒ 建築基準法という法律には、「耐震性」について明記している文章があります。
しかし、特定の面積以内に納まる木造住宅レベルでは、
特例的に、耐震性能の確保と法令順守の確認は、設計する建築士に任されています。
つまり、法律に明記はされているが、
審査機関は、特にチェックしない。ということになります。(4号建築特例)
★2)断熱性能のチェックが存在しない。
⇒ これは、そもそも「建築基準法」に断熱性能を取り決めている法律そのものが存在しない。
つまり、ここも審査機関は、特にチェックしない。
設計する建築士にお任せ。ということになります。
(300㎡以上の建物は、検査義務になりましたが、住宅レベルではそこまでの広さはなかなかないですね)
(300㎡=約90坪の建物)
この時点で、「あれっ??」って疑問を持たれた方は、するどいですね。
ご相談を受けている時に、
「最近の建物は、みんな性能がいいんですよね?」
「どの会社も、みんな性能がいいんでしょ?」と思われている方を拝見するときがあります。
住宅性能ひとつですが、
されど、おおきなポイントです。
実は、建築会社様によって
性能に関する考え方は、さまざまであることが現実です。
その一つの性能を、きちんと確認をしておくことはとても大切です。
多くの場合、この話をすると驚かれます。
では、本題に入りましょう。
「長期優良住宅」を取得するということは、どのようなことになるのでしょうか。
確認してみましょう。
「長期優良住宅」とは、
簡単にお伝えすると、住宅を長期にわたって活用できるように
① 耐震性(法律の1.25倍以上 を認定基準 =耐震等級2)
② 断熱性(各地域により 認定基準が定められている)
③ メンテナンス性
④ 耐久性
を考慮して設計した住宅になります。
すなわち、
これらに対する厳密な審査が行われます。
よって、
設計者は、耐震性、断熱性、メンテナンス性、耐久性を証明するための資料を作成して
「長期優良住宅」として認めてもらえるように建築計画を立案していきます。
申請図面を検査され、細部にわたり基準を満たしているかのチェックがかかります。
特に、
耐震性能と断熱性能は、その性能を証明するため、
各部材の細かな性能も証明するために証明書を添付したり、計算式を提出します。
では、
実際にどんなことがメリット・デメリットとして現れてくるのでしょうか?
【メリット】
① 設計者だけではない、第三者の目を通して性能を証明してくれる。
これは、一番大きなポイントです。
第三者から提出される証明書により、公的に証明されるため、
将来にわたり、
耐震性、断熱性、メンテナンス性、耐久性を住宅の性能として証明されます。
② 設計図面がきちんと残る。
建築確認申請だけの場合、最低限の図面しか申請書に添付しないため、
建て主の方に引き渡される書類が非常に少なくなります。
したがって、
耐震性能を証明する書類は、当然ついていませんし、
断熱性能を証明する書類は、存在しません。
この場合、別途それらを証明する書類を設計者に求めるようにしましょう。
きちんとした設計者であれば、すぐ提出してくれるはずです。
③ 柱、梁の構造図が証明書に添付される
耐震性能を証明するにあたり、必要になるのが建物の構造図。
プレカット図で代用されることがほとんどですが、
柱や梁の位置と大きさを記した図面となるため、非常に大切になります。
これは、
将来、リフォームやリノベーションを検討する際に、非常に重要な書類になります。
「この柱は、撤去しても大丈夫か?」
「この梁は、補強すべきなのか、否か?」などなど
④ 基礎の図面、ホールダウン金物の位置を示す図面が残る
多くの方が、基礎の図面を軽視しがちです。
よくよく考えてみれば、建物を支える非常に大切な部分です。
床下のメンテナンスをするうえでも非常に参考にすべき資料になります。
⑤ 税制優遇を受けれる。
長期優良住宅の認定を受けた住宅は、税金の優遇措置を受けることができます。
税法上、税理士ではないので、詳しくは書けません。ごめんさない。
⑥ コストはそんなに上がらない。
そもそも、長期優良住宅を設計の基準にしている建築会社、設計事務所の場合
建築費用は、長期優良住宅にしたからと言って変わりません。
いつも通りの設計なのですから。
当然ですね。
つまり、
ここで、建築費用が上昇するということは、
「標準の設計基準は、長期優良住宅以下である」ということが証明されます。
コストは、上昇したとしても申請用の手間です。
100万円も200万円も上昇しないのです。
そろそろ、良い面ばかりではなく、
悪い面にも目を向けてみましょう。
【デメリット】
① 申請書類が多くなる。
絶対的に必要な確認申請書に比べて、申請書類が倍以上増えるので、
図面の枚数と、申請書の枚数が増えます。
必然的に 建築士の手間が増えることにより、申請費用としてのコストが上昇します。
当社では、1物件に対して約35万円程度です(面積によらず)。
② 申請期間が長くなる。
建築確認申請に比べて、審査項目が多いために厳密に審査をされます。
当然、こちらの申請の適合が下りないと、着手はできません。
必要な記載事項が無いと、修正を余儀なくされ着工ができません。
大変ですが、大切なことです。
③ メンテナンスの規定を守る必要がある
建物を長く、活用するため
定期的に建て主が、ご自身の住宅のメンテナンスをする必要があります。
外壁の塗装や、屋根の塗装等。
しかし、
これらのことは、大切な住まいを守るうえで必要なことですね。
車は、洗車をしたり、オイル交換をしたりします。
住宅は、車の数十倍することがほとんどなので、
当然メンテナンスを心がけることが必要ですものね。
総合してみると・・・・
ここまで、長期優良住宅のメリット・デメリットをまとめさせていただきました。
「いやいや、こんなデメリットもあるよ!」などもあるかもしれませんが、
ご愛敬を(笑)
物ごとには、必ず良い面とそうでない面が存在します。
長期優良住宅にも、存在します。
しっかりと、目を向けてメリットとデメリットを把握したうえで
どちらを選択するのか?ということが大切だと思います。
後で、後悔しないために。
これからの建て主の方に、有益な情報になれば幸いです。
補足的に・・・・。
今回は、特に触れませんで知ったが、
「低炭素住宅」という審査もあります。
こちらは、長期優良住宅がなかなか普及しないなかで、
断熱性能に特化させた認定基準になります。
こちらも、建築確認申請と同様に、
耐震性については、チェック機能がありません。
よって、少々偏った申請内容になります。
最後に、ZEH(ゼッチ)と呼ばれるものがありますが、
こちらは、低炭素住宅の進化版と捉えていただければ良いです。
したがって、ZEH / Nearly ZEHを達成したとしても、
断熱性能しか証明されず、こちらも偏った認定基準となります。
つまり、耐震性やメンテナンス性、耐久性は証明されません。
これらを考慮したうえで、
当社が定める設計方針の理想形は、
「長期優良住宅」でZEHの基準を「大きく」クリアしている。
ということが大切でしょう。
①耐震性能 OK
②断熱性能 OK
③メンテナンス性 OK
④耐久性 OK
+
⑤エネルギー効率 OK
⑥省エネ性能 OK
当社は、
これらを設計の主幹として、住宅設計にあたります。
それにより、
建て主の方にとって、「証明書のある 資産価値の高い住宅」をご提案したいと思います。
予算によって、長期優良住宅を取得されない方にも、
「フラット35適合証明」 というこれも第三者を活用した審査機関を採用し、
長期優良住宅が取得できる同じ基準で設計をします。
くれぐれも、
「長期優良住宅 相当」という言葉には、気を付けてください。
認定を取得しているわけではなく、即した基準で設計であり、証明書は発行されませんので。
マニアックな内容のご相談もお待ちしております。
新築、リフォームをご検討の方は、お気軽にご相談ください。
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